〒721-0964 広島県福山市港町1丁目4番24号(福山駅から10分 駐車場完備)
お気軽にお問合せください
最近、相続のご相談を受ける中で
『自分が所有している田、畑、山林を放棄したい』
というお声を多数お聞きします。
『放棄したい』思いをお持ちの方からご相談されるのは、
このような相談を受けることが多いです。
役所は、道などで使えそうなところや比較的便利で公的な施設を建てられそうなところであれば、受け取ってくれる可能性があります。
ですが、その可能性は低いです。
・行き止まりになっているような土地ではいけない
・便利な土地でも進入路も一緒に受け取れないといけない
など、ハードルは高いのです。
ましてや農地や山林などは受け取ってもらえません。
可能性があるとすれば、その土地の隣近所の方が地続きで土地を持ちたい場合があるかもしれません。山林に関しては、林業を営む会社が買ってくれるかもしれません。
いずれにしても、売却にあたって不動産会社は動いてくれないでしょう。
なぜなら不動産会社の手数料は、売買代金によって決まります。
『 無償やただ同然でもいいから引き取ってほしい 』という要望には応えてくれないと思います。ご自身で受け取ってくれる方を直接訪ねて行くしかありません。
法律上では、「 所有権のない不動産は国庫に帰属する 」と民法239条に規定されています。だからと言って、ごみを捨てるのと同じ感覚で不動産を捨てることができるか、というとそうではありません。
実際の裁判で、土地の所有権を放棄した結果、国が所有権を取得したと主張して、国に対して受け取りの請求を求めた事例があります。
その結論として裁判所は、「 山林などの所有権放棄は財産的価値の乏しい土地の管理費用や責任を国に押し付けようとするもので、権利濫用等にあたり無効である 」と判断されました。これは平成28年の判決です。
”いらない不動産”を処分することは、容易ではありません。
ただ、もう一つあまり知られていない方法で手間と費用をかけて
”いらない不動産”を手放す方法があります。
自分が所有している不動産を放棄するのではなく、自分が死亡することで、これから相続する子供たちが手続きを行っていきます。
相続放棄は、相続開始を知ってから3カ月以内に家庭裁判所にて手続きを行わなければなりません。
相続放棄が受理されれば、初めから相続人ではなかったことになり、第二順位の相続人へ相続権が移ります。第二順位とは、親、祖父母などの直系尊属です。
しかし、一般的に親、祖父母は先に亡くなっていることが多いです。
そうなると、第三順位である兄弟姉妹に相続権が移ります。そして、兄弟姉妹が相続放棄することで、相続人がいない状態になります。
ただし、当然に国に移るか、というとそうではなく、名義を変更する手続きをとらなければなりません。
この手続きが大変なのです。
期間も1年以上かかります。
家庭裁判所に相続財産管理人を選んでもらう申立てをします。
相続財産管理人とは、弁護士や司法書士などが選任され、相続人がいない相続財産を管理していく人のことを言います。
もし亡くなられた方に借金があれば残ったお金、不動産を売って返済をしますし、相続人ではないけれども生前中にお世話になった特別縁故者がいるのかいないのかを判断するなど、複雑な手続きを行っていきます。
相続人が存在しないことが確定し、特別縁故者もいない、誰も財産を引き継ぐ人がいない、それでも財産が残っていた場合には、国に財産を引き継ぐ手続きをおこないます。
相続放棄をしただけでは、自分の物ではなくなりますが、管理する責任だけは法律上課せられている状態です。
例えば、『建物が崩れて隣の家に迷惑をかけてしまったら…』『土砂崩れが起きた土地の整備費用』など、あらゆるリスクが想定されます。
次の世代に‘負動産‘で迷惑をかけたくないと思われている方。
一人で心配するよりも、当事務所へ一度ご相談ください!